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1991-2017

「自分の身を守っただけでどうしてこんな目に遭わされるのだ」

高級住宅街が催涙ガスと機関銃の音で覆われいた。

 

「私の心は疲れ果てた心ではあるが、優しい心であるー・・・

誰ひとり人を傷つけようとは思わぬ心である。」

 

これは、その乱戦のなかにいた”関係者”に宛てられた手紙の一節だ。

送り主はニューヨークの凶悪犯クローレー。

彼は二丁ピストルのクローレーとまで呼ばれていた。酒も煙草も嗜まない男だ。

この一節が認められた手紙は乱戦中に書かれたもので、容赦なく流された血によって赤く染められている・・・。

 

 

「自分の身を守っただけのことで、こんな目に遭わされるんだ」

これが電気椅子にすわったクローレーの最後の言葉だ。

「大勢を殺したのだから自業自得だ」とは言わなかった。

 

自分が悪いとは、全然思っていない罪人は珍しくない。

全米を震え上がらせた暗黒街のアル・カポネでさえ

「俺は働き盛りの大半を世のために尽くしてきた。

ところが、俺が得たものは、冷たい世間の非難とお尋ね者の烙印だけだ」と嘆く。

「自分は慈善家だ」と大真面目で考えていた・・・。

 

世間は彼らを「極悪人」と呼ぶが、彼ら本人はそうは思ってはいない。

あくまでも自分の行為を正しいと信じており、世間から「悪事だ」と咎められても、実にうまくそれを説明する。

人間は、たとえ自分がどんなに間違っていても決して自分が悪いとは思いたがらない。

間違いを指摘しようものなら直ぐさま防衛体制を敷き、何とか自分を正当化しようとする。そして、自尊心を傷つけられたことは反抗心を起こし、危険な行動を引き起こしてしまう。

よって、悪いところをただただ述べるだけでは解決はされない。

「自分の行為は正しい」と思ったままなのだから。

その場が丸くおさまり沈静化されたとしても、永続的な効果は期待できない。

そして丸くおさまらなければ、相手の怒りを買い、状況は泥沼化するだろう。

場の状況を誰もが同じレベルで理解している、なんてことはあり得ないのだ。

 

実業家ジョン・ワナメーカーはこう言う。

私は人を叱りつけるのは愚の骨頂だと悟った。

自分のことさえ自分で思うようにはならない。

天が万人に平等な知能を与えたまわなかったことまで腹を立てたりする余裕はとてもない。

人を批難することの無益さは、歴史にも多くの例がある。

政治規模で例を挙げるなら、セオドア・ルーズヴェルト大統領が大統領の地位を、彼と同じ共和党のタフトに譲った時・・・(ルーズヴェルトはアフリカへライオン狩りに出かけていた)

しばらくして帰ってみると、タフトの政策が「保守的である」と世論の批判を浴びていた。

ルーズヴェルトは次期大統領の指名を確保するため、革新党を組織。その結果、共和党は壊滅の危機にさらされ、次の選挙でタフトを大統領候補に立てた共和党は二州のみ)

ルーズヴェルトは、タフトを責めた。

しかし、責められたタフトは自分が悪いと思っただろうか・・・?

「どう考えてみても、私にはああする以外に方法はなかった」と、悔し涙を浮かべ彼は人に語る。

批判をし、責めたてても、タフトは何とか自分の立場を正当化しようと躍起になり、繰り返し繰り返し、「ああする以外に方法はなかった」を言うだけであった・・・。

手厳しい非難や詰問は大抵の場合、役になど立たない。

批判が呼び起こす怒りは対象の意慾を削ぐだけで状態は改善されない。

 

偉大なるリンカーン大統領には、人の粗探しをし、人の反感ばかり買うようなことをしていた頃があった。相手を嘲笑った詩や手紙なんかも書き、わざと見えるような場所に落として置いたり・・・。

政治屋をやっつけた時には事態は決闘にまで発展し、双方の介添人が分け入ったことで果し合いは預かりとなったからよかったものの、このことリンカーンは肝を冷やす。

そして、二度と人を馬鹿にした手紙を書かず、どんなことがあっても人を批判するようなことは殆どしなくなった。

人を裁くなーー人の裁きを受けるのが嫌なら

リンカーンが好んだ座右の銘だ。

 

歴代の大統領のなかでも歴史に最も深く名を刻んだ人物の一人であり、

リンカーンほど完全に人間の心を支配できたものは世に二人とはいないだろう」とさえ讃えられた。

理解と寛容を持ち、優れた品性を備えた徳のある人物リンカーンは、多くの人に支持され愛された人物に違いないだろう。しかし彼は、奴隷解放に反対する組織に暗殺されてしまう・・・。

「天が万人に平等な知能を与えたまわなかったこと」を考えさせられる。

世界が・・・社会が・・

人間と人間が・・・理解しあうことが茨の道にも感じてくる。

 

この記事は、はてなブログの見たまま入力で編集してきた。

キーボードで打ち込んだ入力が画面に反映されるまで時間がかかりはじめたので今日はおわりにする。