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フィクション ノンフィクション

花壇

外出のたび視界に入る。

母がこの家から出て行っても、家の花壇には野性的に花が咲いている。
蔓を巻きつかせる棒もなくクネクネしている朝顔と昼顔。確かどちらもあった筈だ。
いや、でも夕方も咲いているときがある……。
それからサルビア
今年の春はパンジーが咲いていた。
(ちなみに母が出ていったのは6月のことになる)


こういった花の管理は全て母が趣味で
なのか、
穏やかな家庭を作り上げるために、か
どちらにしてもご近所でも「綺麗ね」と言われる花壇に
せっせと水を撒いたりしていた。

小さい頃はホームセンターへ行き、一緒にパンジーの色を選んだり、なんの種を撒こうね?と、きゃあきゃあしていた。
水撒きから脱線して、妹にホースの水を向けて、仕返しにウォーターガンで戦いになったりもした。
基本的にはホースの水をシャワーのダイヤルに切り替えて、虹を作って見たり、虹の下を潜ったりして遊んでいた。
決して裕福な環境ではないなかで母は花を大切にしていた。


私が社会人になり、仕事で落ち込んでいる時があった。
その頃の私は隣の隣の隣くらいの街で一人暮らしをしていたんだけれど、「一緒に選んでくれないかな?」と、こちらの街のホームセンターに出掛けた。

商品として整然と並べられた花たちが一面に広がり、美しくて携帯で写真を撮った。

売られている花たちを見て、好きな色を選び、丁寧に すくい上げる。
仕事で落ち込んでいる私はとても感傷的になっていたので、選ばれなかった花たちに若干申し訳なさそうに母のところへ戻る。


淡い四季の思い出。


向日葵は何年前に咲いていただろう。


紫と赤と緑、均されていない土。
今日昨日と雨なので、水撒きは大丈夫だ。

秋には何が咲くのかな
(何も咲かないかも知れない)