1991-2017

お受験戦争(高校3年編)

イヤホンを深く耳に入れ、自分の番号が呼ばれる声はギリギリ聞こえる音量で待合室にいた。

高校生くらいかとの親子、成人した人とその親の親子、夫婦、おしゃべりなご婦人たち、ガリガリに痩せた体の女の子とその付き添いの男性。

ガリガリに痩せた女の子は、診察室への数メートルで沢山の人から視線を注がれる。
彼女はどんな気持ちだったのだろう。



「土曜日はなるべく来ないほうがいいよ」

そう担当医には言われていた。
ただ都合が土曜にしかつかない時があり、診察時間が始まったばかりくらいの時間帯に行くとサラリーマンが多く、奥の席には腕に包帯を巻いた男の子がいた。
みな周りには興味がなく、他の患者を目で追う者もいなかった。とても静かで、待合室のBGMすら煩かった。土曜でも平日でも居心地が最悪なのは変わらない。具合が悪くなる。


診察室へ入ると、
「ああ、来ちゃったの?土曜日は重症患者さんが多いからねえ」と、私はいつもより簡単にさっさと診察を済まされ、変わらない処方箋をもらって帰ってきた。


とにかくあの待合室は苦手だ。苛々するあまり、酷いときは手の甲に自分の爪を、跡が濃く残るまで立てていた。そうしていると少しは落ち着いていられた。

しかし周りがイヤホンの音より大きな話し声で賑やかにしたり、ちょっとした口喧嘩をしていると私は泣いてしまっていた。
担当医も日によって機嫌が違うので、それも気になっていた。

もしこの場所で泣いている私を、容姿の整った優しい男性が「大丈夫?」とでも声を掛けてくれていたら間違いなく連絡先を交換していた。
「自分は病気じゃない」「なにかの間違いでここにいるだけだ」と思いつつ、悩みを共有できる知り合いを当時の私は欲しがっていたから。