1991-2017

箱入り少女

彼女はいつも何かに怯えている。
だからこそ僕は、彼女を守ってあげたくなるけど、二人の関係はそれだけなんだ。そこまでしかないんだ。

だって彼女は怯えるあまり、そこから動こうとしない。

また、彼女はヒステリックな怒りかたをしない。
寛容さで僕を癒してくれる。
そういった所に理知的な雰囲気を感じる。


「争うことなんてない」
その穏やかさの奥深くに、穏やかであろうとする不穏さがあることに僕は敢えて触れない。

怯えを勘づかせないよう、一人で戦う彼女の強さは美しく魅力的だ。
自己を律するその強さに、僕は「お堅いね」なんて言ってからかう。そうすると君は、恥ずかしそうに俯くんだ。

本当の君は子どもなのにね。

彼女は誰よりも優しく、気遣いもできる。
誰のことも平等に扱う。
平等だからたまに思うんだ、「僕はその他大勢と いっしょくた にされてるんじゃないか?」なんてね。くだらないだろ、めんどくさいだろ。

僕のことを特別扱いしてくれるのは確かだ。
でも正直、その対象は誰でもいいんだ。彼女と長く一緒にいるとそんなことまでわかってしまう。


そして彼女は僕のそういう、疑いや不満に気づくだろう。
だけどそれに対して怒ることなく、それすらも受け入れてしまうんだ。

僕らの関係は、一緒に過ごした時間の長さとは比例せず、しゅわっと呆気なく消えてしまうかもしれない。