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1991-2017

劇場

悲劇を楽しむ。修羅場の相談だって実況中継のように垂れ流す。「これは酷いね」「危ないから気をつけて」 どの言葉も私を助けようとして周囲が発した言葉だ。同情に酔っている自分を後から感じる。「これだけ好きなのに」「今までの恋愛は適当で俺にはお前し…

成熟した大人

細い手首を一日眺めていたい。「結婚とは必然的にするものではないので勢いでするものだ」 よく見る言葉。 早くに結婚しておけばよかったものの。「自分が成熟した大人でないくせに他人と暮らすなんて迷惑をかける」とか、「結婚っていうのは慎重になるべき…

チェーンスモーカーの彼女

チェーンスモーカーの彼女は統合失調症。 グルーミーのポーチにマルボロアイスブラストを入れて、夜に出掛けるときは大体すっぴんだった。 白くて綺麗な肌からは煙草を吸っているなんて想像もできない、二十歳の彼女。学校の後輩だった。部活動が同じで、い…

朝、暖房の効いたリビングで小学校へ行く支度をする。 三人姉妹なので、場所が混み合う。隣にある和室でストーブに火を灯し、暖を取りながら着替える。 洋服をこたつのなかで温めておいて、それを着る。登校するまでの30分、徒歩で春夏秋冬通っていたのが今…

誰の体温もない部屋

扇風機の風が体の右半身に当たる。 冷えた風から身を守るように、ふとんを体に被せる。 あなたに包まれたい抱きしめて眠りたい、頭が狂う。 一人でいる間に次のあなたに会う約束を。22歳のあなた、31歳のあなた、24歳の飛びっきり大切な、あなた。失敗作の私…

チルドレン

悪いことをしたと思っているのに謝罪も出来ぬままだから引き摺っている ということを、知人が彼へ、とても真剣に伝えてくれた。そのことから始まる、彼の盲目的で、純度の高い愛情表現「めちゃくちゃにしたい」「そうやって引き摺っていたなんてあなたらしい…

7年

35歳の彼女をフったんだ。 その年齢で新しい恋人なんて難しいだろうに。 俺は、ひと一人殺したようなもんさ。今でもたまに夢に出てくる。彼女のことで吐く。7年も付き合っていれば大体のデートスポットには行ってる訳さ。 いま付き合っている彼女と むかし行…

欠け落ちたもの

ちゃんとした大人になれていないままだった 私たちはどこか足りない、 自分を大切に出来ないもの同士弱さを支えあいながら生きていこうと思っていたそれが彼にとっても 私にとっても 幸せなことだと思って交際していた。 でもそれは違っていたらしい。職場の…

お受験戦争(高校3年編)

イヤホンを深く耳に入れ、自分の番号が呼ばれる声はギリギリ聞こえる音量で待合室にいた。高校生くらいかとの親子、成人した人とその親の親子、夫婦、おしゃべりなご婦人たち、ガリガリに痩せた体の女の子とその付き添いの男性。ガリガリに痩せた女の子は、…

否定、共存、淘汰

「そんな、迷惑極まりない。最近の君は仕事に遅刻してくるじゃないか、しかもその理由が彼氏にあるなら社会人としておかしい。まともなやつじゃない、離れたほうがいい。」人生経験豊富な大先生様はそう仰いました。 私のお付き合いしている彼は寂しがり屋で…

何も考えず、ただ卑屈

何も考えず、ただ卑屈に育ってきた。何も考えず、ただ楽しく生きてきた人と比べると 人生のステップを踏むスピードが対極的に遅い楽しく生きてきた人はさっさと結婚する デキ婚もする、ノリで結婚もする。でも卑屈に育ってきた人はまず恋愛に辿り着けない 辿…

カシューナッツ

僕は大人にってから、ナッツが好物になった。よく買うのがアソートになっているもの。 でも欲を言えば、僕はカシューナッツが大好きだ。 父が仕事の関係で乗るビジネスクラスの飛行機に一緒に乗せてもらったのが小学一年生。 その時のフライトで、夜にワイン…

箱入り少女

彼女はいつも何かに怯えている。 だからこそ僕は、彼女を守ってあげたくなるけど、二人の関係はそれだけなんだ。そこまでしかないんだ。だって彼女は怯えるあまり、そこから動こうとしない。また、彼女はヒステリックな怒りかたをしない。 寛容さで僕を癒し…

なぜ異性との関係が落ち着くのか

愛を卑しめる気風は東洋で伝統的にしみ込んでいるものであるが我々はそれを認めない訳ではない。こっそり、そしらぬ風を装うことが暗黙の礼儀なのである わかり合える関係は誰と築くものなのかと考えると、最近は恋愛ばかり浮かぶ。友達よりも強い繋がりだと…

女の子ちゃん

きっといつも誰かに頼ってしか生きてきてないから 嫌われない術というのは体に染み付いていて、 あの謙虚さも何もかも緻密に作り上げられたもの。そんな子が見つけたパラダイスがここなんですね。ゆるい雰囲気にどっぷり浸かっちゃって、厳しくするとグラつ…

片思い

片思いの彼と病院の待合室でばったり会った。 診察を終えた彼に話しかけると、癌を患っているとのことだった。 帰り、駅まで一緒に歩いて行く。 私と彼は違う電車。 でも、私は彼の乗った電車に駆け込む。 同じ車両まで追いかけて、話しかけようとしたら 彼…

死期の恋

死後の恋という名前のオブジェがあった。 作者はこの作品が完成してすぐ亡くなったらしい。 このオブジェは薄いガラス製の箱で、小部屋ぐらいの大きさ。 中には水気を含んだかのように若々しく輝く植物たちがあった。 それは吹き抜けの館内の深層部に、ただ…